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「人間は誰でも心の底にしんと静かなみずうみを持つべきなのだ」
video / installation / mixed media  - 2017
中之条ビエンナーレ(温泉口の家)
 
 
 
 

installation view


 
 
 

−夜から朝まで
夜から朝をつなぐのは
光と水の移動、無数の歌
夜から朝にかけての唄を聴かせてほしい−

 

 

2015年秋、たまたま中之条ビエンナーレにお客として訪れた私は,四万温泉街の山の最奥にある湖の風景に魅せられた。
そこは人為的に開けられた大きな穴に浮かぶ大きな水のかたまりで、不思議に青く、怪しく静かにそこに佇んでいた。
そして、その日からその湖はこころの底の方にあり続け、わたしは昔の遠い記憶を回想するように何度も繰り返し、頭の中でその風景に触れようとした。
なぜここまで囚われるのだろう と自問しながら。
 
ある日、その「なぜ」に答えるような直感が走った。
2年前はじめてその湖を見た日の約1ヶ月前、新潟の最愛の祖母が亡くなったことからではないのか。と。
 
わたしは幼いころから祖母の死に対して異常なほどに強い恐怖心があった。
大切に育ててくれた存在ということはもちろん、一番最初に体験するであろう身近で切実な死の対象であるという想いがあった。
その祖母の死と湖の風景の直感がゆるやかに結ばれていった。
 
 
この経験を元に、唄うことが好きだった祖母の声を新潟からこの四万の地へ持ってきて、響かせたいと考えた。
祖母の唄が青く澄んだ美しい四万川の流れに溶け込んで、遠くに運ばれていくように。
そして偶然にも祖母は2011年にこの地を訪れている。
同じ風景を観ていてかもしれない。 

 
    
 
 
 
編集中