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「岸壁の父母 No.3 渡邉ひろ子個展 隣人について-その訪問の心得」
video / installation / mixed media  - 2016
HIGURE 17-15 cas
 
 

編集中
 

幼いころ、死、というものがとてつもなく怖かった。
夜電気を消して布団にもぐると、暗闇のなかでふいに、死、というものが頭をよぎる。
 
死んだ後はどこへ行くのか。
あの世というものはあるのか。
自分自身が消えてなくなる、ということは一体どういうことなのか。
 
自分の死は自分では体験できないが故に、生きている間は
そのことをただ漠然と考えることしかできない。
死んだ後はこの考えるわたしの意識そのものがなくなってしまうのだから、ずっとわからない。
つまり「自分の死」はずっとわからないのだ。
 
では、自分の死ではなく、「他人の死」はわかるのか?
 この「他人の死」それも「身近な存在の死」の恐怖は自分のそれと同じくらい、
いやそれ以上に切実な問題としてあった。
 
大切な人が死んでしまった時、わたしは何を思うのか。
どれほどに苦しいのか。
どう受け止めるのか。
 
「その時」のことをイメージしてみてはひとしきりなく夜もあった。
そしてこの対象は常に祖母であり続けた。
 
 
本展は幼い頃に抱いていたこの「身近な存在の死」の恐怖とその問いに対してのひとつの応答ともいえる。

 
 
 
installation view

 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

photo by Takayoshi Susaki
 
 
 
 
【寄稿】
 
他者との境界の溶解  能勢陽子(豊田市美術館学芸員)
2017年「岸壁の父母」掲載
 
声の震えの感触 櫻井拓(編集者)
2017年「岸壁の父母」掲載